アフリカに近い言語ほど音素が増える?アフリカから遠くに位置する日本の言語は音素が少ない?(2-2)

アジア

アフリカの距離と音素の関係に対して、例外となるような音素の多い地域もありました。そこで例外となった言語を持つ地域の原因について考察していきます。(1-2)では音素とはどのようなものなのかついて述べていきました。(2-2)では実際に世界各地の言語の音素に関してまとめていきます。

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世界各地の言語における音素の数

結論から述べると音素の多い傾向にある言語はアフリカに多く、少ない傾向にある言語は太平洋の島々や南アメリカとある調査により分かったそうです。最も音素が多い言語と言われるのは、ナミビアやボツワナ周辺で使用されている「ǃXóõ」というコイサン語族に属されていた言語です。!マークは音声記号になり、日本語ではコオ語と呼ばれています。

ちなみにコイサン語族と呼ばれる言語は吸着音を持つことで一括りにされてはいますが、各々同系統の言語とは言い難く現在は便宜上で分類されている名前に過ぎません。ちなみにコイサン人種は人類で最古の人種と呼ばれているため、吸着音は最古の言語の特徴とも言えます。

口でクリック音を出すような音である吸着音がある印象的な言語で音素は200個近くあるとも言われています。さらに音素の数が多いだけではなく、中国の四声のような声調まであるそうです。日本語の音素の約8倍、他言語を学ぶ上で苦労する人が多い声調まであるため、特にモノリンガルの日本人がコオ語を習得する場合には根気が入りそうですね。

各言語の音素数

アフリカから見ていくと、シュー語(カラハリ砂漠)は約140個程、ハザ語(タンザニア)とダハロ語(ケニヤ)は約60個程です。ヨーロッパでは英語が約46個、ドイツ語が約41個、フランス語が約37個、ロシア語が約38個になります。

中東で使用されるアラビア語は約31個になります。アジアでは中国語(マンダリン)は約32個、韓国語が約32個、タガログ語(フィリピン)が約23個で、太平洋の島々ではハワイ語(ハワイ)は約13個で、ロトカス語(パプアニューギニアのブーゲンビル島)は約10個になります。南米のピダハン語(ブラジルのアマゾネス州に居住する民族の言語)は約10個です。

アフリカから遠ざかる地域の言語ほど音素が少なくなることは一目瞭然と言えるでしょう。どうやらアフリカから南アメリカにダイレクトに渡り定住することはなく、終着地が南アメリカのようです。

アフリカ以外で音素の多い言語

ijmaki / Pixabay

ウビフ語は最も子音の多い言語であり、80以上の子音と2つの母音を持ち、音素は80以上あります。ウビフ人はソチの辺りに住んでいましたが、紆余曲折を経てトルコに移住した経緯を持ちます。ただ1992年に最後の話者が亡くなってしまいました。他にはアイルランド語70個近く、ダゲスタン共和国のアルチ語が90以上の音素を持つそうです。

北コーカサス/アフリカ以外で最古の人骨が見つかったのは偶然か?

ソチやダゲスタン共和国は北コーカサスに位置する地域で、トルコとロシアの間にある地域です。ダゲスタン共和国にはアヴァール人、ダルギン人、ラク人、ノガイ人、クムイク人など非常に多くの民族が暮らしています。南コーカサスのジョージアでは東アジアの原人より原始的な特徴を持つ人骨が発見されました。アフリカ大陸以外で発見された最古の人骨の可能性が高いそうです。

音素が多い地域で、アフリカ以外で最古の人骨が見つかったことは偶然なのでしょうか。人類のある群れが他の地域を通過しながら、当時住み易そうに感じたコーカサスに落ち着いた可能性もあります。ジョージアの言語であるグルジア語は、ウビフ語やアルチ語と比べると音素は少ないですが、ある群れが南コーカサスに定住し、群れの本流がそこから少々北へ流れたとも考えれます。

アイルランド/ゲール人は一気にヨーロッパ北西に定住したのか?

アイルランド語は発音体系が、口蓋音と非口蓋音、狭母音と広母音、軟音、鼻音、曖昧母音と非常に多様であるため音素が多いです。アイルランドには石器時代には既に人類が住んでいたとされています。イギリスが近くにあるにも関わらず、英語と同じルーツを辿っているとは言い難いです。

語順は「動詞+主語+目的語」で、YesやNoに当たる言葉もなく動詞の活用により表現します。アイルランド語はゲール語に分類される言語です。音素の多さの点から考察すると、北西ヨーロッパに定住したとされるゲール人のルーツは、アフリカから一気にヨーロッパ北西に定住したのかもしれません。

音素の多い地域は格闘技に長けている!?

音素の多い地域でアイルランドとダゲスタン共和国と聞いて、ある二人の人物を思い浮かべる方もいるかもしれません。それは総合格闘技であるUFCのカリスマだったコナー・マクレガーと、現ライト級王者で無敵の強さを誇るハビブ・ヌルマゴメドフです。双方共にUFCで特に目立っている選手であり対戦したこともあります。ちなみにハビブ・ヌルマゴメドフが勝利しました。

ほぼこじつけになりますが、特に圧倒的な強さを持つ二人であり双方とも音素の多い国の出身であるため、戦闘能力に優れるということがあるかもしれません。ただその場合はコイサン族の人々が最も格闘に向いているということになるでしょう。

アイルランドはラグビーなどを見ても屈強な人々が多いことで知られています。ダゲスタン共和国は特に格闘技が盛んな国であり、他にもヴォルク・ハンなど有名で強い格闘家が多いです。アヴァール人であるハビブ・ヌルマゴメドフは語学が堪能で、ロシア語を始め英語、トルコ語、アラビア語、アヴァル語と多くの言語を話すことが出来ます。ただアルチ語が話せるかどうかは分かりません。

音素から人類の歩みが分かる

人類が枝分かれして行くと共に定住先で独自の文化や遺伝的な変化をしていきました。人類の発祥の地として濃厚とされるアフリカからどのように変化していったのかの片鱗が音素からも垣間見れます。

昔は世界が陸続きだったという話もありますが、人類はアフリカからヨーロッパやアジアを通り、太平洋の島々を経て南アメリカに最終的に行きついたのかもしれません。音素を通して鑑みると、よりそのような流れが濃厚に見えます。日本は人類が辿り着いた場所でも非常に終盤に位置する地域と言えるでしょう。

日本は中国などがあるアジア大陸と繋がっていたというより、伝説とされるムーのような大陸としてポリネシアの島々と陸続きだった可能性もあるでしょう。さらに人類が日本に定住する頃にはアジア大陸と日本は離れていた可能性もあります。そしてムー大陸の人々の言語は音素が少なかったかもしれません。

関連記事「アフリカに近い言語ほど音素が~(1-2)」

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