ハイエクはオーストリア出身の経済学者で、哲学者ウィトゲンシュタインの母方の従兄にあたります。彼の思想には、オーストリア学派に特有の「懐疑主義」が根底にありました。
ハイエクとケインズの名言
ハイエク
「人々を平等に扱うことと、人々を平等にしようとすることには、決定的な違いがある。」
ケインズ
「現代の経済社会の最も重大な欠陥は、完全雇用を実現できないことと、富と所得の配分が恣意的かつ不公正であることである。」
ハイエク
「経済学の使命は、人間が自分で設計できると思っていることが、いかに理解されていないかを示すことだ。」
ケインズ
「長期的には、私たちはみな死んでいる。」
ハイエク
「国家が計画をすればするほど、個人にとっての計画は困難になる。」
ケインズ
「政府の役割は、すでに個人がやっていることを少し上手くやることではなく、いま誰もやっていないことを行うことだ。」
ハイエク
「社会を意のままに設計できるという思い込みは、実際には存在しない知識への信仰であり、それは甚大な害をもたらす。」
ケインズ
「経済学者や政治哲学者の考えは、正しいときも間違っているときも、一般に考えられているより強力である。」
ハイエク
「経済学の奇妙な使命は、人間が自分で設計できると信じているものについて、実際にはどれほど無知であるかを示すことである。」
ケインズ
「言葉は少し過激であるべきだ。なぜなら、それは思考が無思考に挑むための手段だからだ。」
ハイエク
「物質的平等の要求は、全体主義的権力によってしか実現できない。」
ケインズ
「納税を避けることだけが、今なお報いのある知的活動だ。」
ハイエク
「私たちは、自分たちがやってきた多くのことが非常に愚かだったと学ばない限り、より賢くはなれない。」
ケインズ
「新しいアイデアを思いつくことではなく、古い考えから抜け出すことが難しいのだ。」
ハイエク
「自由とは、選択の機会と責任を個人が持つということだけでなく、その結果を引き受けなければならないことを意味する。」
ケインズ
「人類の政治的課題は、経済効率、社会的正義、個人の自由という三つを両立させることにある。」
ハイエクとケインズ
ハイエクの自由主義は反合理主義に立脚し、人間の理性には限界があるとし、制度や秩序は上から設計するのではなく、慣習やマナーといった積み重ねられたルールに従うべきだと考えました。
とくにハイエクは、フランス的な理性崇拝や合理主義に反対し、自発的な秩序の中にこそ真の自由があると主張しています。ハイエクの「自由」に対する考えは、単に経済学にとどまらないものがありました。
一方、ケインズは、イギリスの経済学者で、不況期に政府が積極的に介入する「ケインズ経済学」を提唱しました。彼の理論は、第二次大戦後の経済政策の中心となり、当時の経済学の主流となりました。
その後、1970年代のスタグフレーション(景気が停滞しているにもかかわらず、物価が上昇)によりケインズ政策に限りが見え、ハイエクの自由主義思想も再評価されるようになり、いまでもこの2人の考え方は、経済や社会のあり方を考える上で大きな対立軸となっています。