「あなたたち哲学者は幸運な人たちです。紙に書けば、紙は辛抱強く受け入れてくれます。けれど、不運な女帝である私は、生きた人間という傷つきやすい皮膚の上に書かなければならないのです。」
エカチェリーナ2世
18世紀ロシアの絶対君主にして、啓蒙思想にも通じた知性の持ち主エカチェリーナ2世。
プロイセンのフリードリヒ2世やオーストリアのヨーゼフ2世と並び、啓蒙専制君主の代表格と称されています。
ロシア帝国の領土を大きく拡大し、ポーランドやウクライナの一部を併合、“大帝(ヴェリーカヤ、Вели́кая)“の尊称で呼ばれるようになりました。
また、彼女は多くの愛人を抱えたことでも知られ、
政治的な才覚と、人間的な情熱の両方を併せ持った、稀有な存在でした。
しかしそんなエカチェリーナも、理想と現実の板挟みに苦しみながら、
“生きた人間”を相手に国家を治めるという重圧と向き合い続けました。
前半では、彼女の「統治に対する考え方」や「人柄」を映し出す名言を、
後半では、現代を生きる私たちにも通じるヒントとなる言葉を紹介していきます。
【統治】
「私は声をあげて賞賛し、声をやわらげて咎める。」
「支配者は、神々と野獣の両方を模倣する術を知らねばならない。」
「平等という荒々しい力は、弱い目と心を眩ませる。」
「法律は、誰かが他の市民を恐れずに済み、すべての市民が等しく法律を畏れるようなものでなければならない。」
【人柄】
「私は、なぜそうなのかを知ることを愛する人間の一人です。」
「哀れみよりも羨望の対象になる方が良い。」
「本質的に自分を惹きつけるものから逃れることほど、私の考えでは難しいことはない。」
「私は愛なしには一日たりとも生きられない。」
【心に関して】
「誘惑することと、誘惑されることは、紙一重です。」
「才能が虚栄心の追求に費やされると、その成れの果ては、粗末な小屋と同じくらい見るに堪えないものになる。」
【対人関係に悩んだら】
「私は親切であるかもしれないし、普段は穏やかだ。だが私の仕事においては、一度望んだことは、恐ろしいほどの意志をもって貫かねばならない。」
「あなたは口論したい気分のようですね。その気が収まったら教えてください。」
「人は多くを知るほど、多くを許すようになる。」
【困難に直面したら】
「大きな風が吹けば、あなたに想像力を与えるか、頭痛をもたらすかの、どちらかになる。」
「自分に変えられないことを心配しないで。」
「幸福も不幸も、私たち一人ひとりの心と魂の中にある。もし不幸を感じたら、それに負けず、幸福を何かに依存させることのないように努めなさい。」