マルピーギは、イタリアの医学者・解剖学者・生理学者 であり、最初の組織学者とも言われています。
本日は彼の名言をご紹介します。
1628年3月10日 – 1694年11月30日
「私たちは皆、小さな操り人形のようなものであり、運命と幸運によって、私たちは見えない糸で動かされている。」
この名言は、人間の生のあり方が、
見えない力(運命や幸運)によって支配されているという事を述べている様にも見えます。
この考え方は、決定論的な世界観 に通じるものであり、個人の意志や努力ではどうにもならない要素が
人生を大きく左右するという事を
言いたいのかもしれません。
人間の運命は決まっていると考え、
それを受け入れることが幸福につながると説いた
ストア派の哲学者たちの考えや、
運命の力に翻弄される人間の姿が描かれていた、
シェイクスピアの『マクベス』や『ハムレット』の
ような作品などでも描かれる様に、
古代から近世に至るまで、
人は運命というものを意識してきました。
マルピーギは、17世紀の科学者であり、
顕微鏡を用いた解剖学の先駆者として知られていますが、
この言葉からは彼が科学者である一方で、
人生の不確実性や人間の無力さについて
深く考えていたことがうかがえるのではないでしょうか?
17世紀は、科学革命の時代であり、
合理主義が台頭しましたが、
一方で人間の理性や科学的探求だけでは
まだ説明できない「運命」や「偶然」に対する意識も強かった印象もあります。
「幸運も人間も常に私たちの望まぬことに忙しくしているように思える。なぜなら、幸運は盲目であり、人間はただ自らの利益のことしか考えていないからだ。」
ローマ神話には、フォルトゥーナという運命の女神がいます。彼女はなぜ盲目だったのでしょうか?
「幸運は盲目である」 これは古くからの概念であり、
運命は公平に見えることもあれば、
理不尽な形で人に降りかかることもある。
つまり、幸運や運命は気まぐれで、
人間の思惑とは無関係に動くともとれます。
「人間は自分の利益しか考えない」 これは、
他者のことを考えているようで、結局のところ、
人間の行動の多くは自己利益を優先している事を示していると言えます、
彼は特に権力者や学問の世界において、
競争や政治的な駆け引きを目の当たりにしてそう感じたのかもしれません。
この名言では、運命の不条理さと人間の自己中心性を
鋭く指摘しており、
「運命(幸運)」と「人間の行動」 という二つの要因が、
しばしば私たちの意に反して動くことを
マルピーギは嘆いたのかもしれません。
17世紀という、科学と伝統が衝突する時代に生きた彼の苦悩が垣間見れます。
ただ、現代においても、世の中で同じような状況が変わらず存在し続けている様にも感じます。