南アジアの仮面劇コーラムに関して-南アジア

南アジア

コーラムというとインドで観ることが出来る、美しい床絵を連想する方も多いのではないでしょうか。今回は床絵の方ではなく仮面劇として呼ばれているコーラムに関してクローズアップしていきます。コーラムには昔の伝説の王の話まで関わっており、非常に興味深かったです。

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コーラムという仮面劇

スリランカの仮面劇で本格的なものでコーラムと呼ばれるものがあります。スリランカの南西部の海岸で盛んに行われている仮面演劇で使用する画面の数も多いです。また呼応するかのように治療のための悪魔払いを目的とした仮面劇トウィルも盛んです。昨今ではトウィル的な要素がコーラムにも組み込まれていることもあるそうです。

コーラムとトウィル

トウィルは治療をするために行われる仮面劇ですが、娯楽的な要素もあったりもします。緊張状態を解放、浄化の目的で、体験や感情を言葉や行動として吐きだします。コーラムは村を蘇らすための壮大なヒーリング作用をもたらすとも言えます。コーラムは仮面を通して正の力により、日常的な秩序をオーバーに映し出し、改めて秩序を組み立てます。

一方トウィルはアプローチとしては真逆で、負の力により秩序を崩し再度組み立てて行きます。どちらの場合も仮面を通して、再び秩序を構築する作用があると言えるでしょう。仮面は外からの力を受け止め体験させることで、パワーをその場に満たしていき、人々に結果的に癒しを与えます。

コーラムの時期

コーラムでは雨季の前や、農作物の収穫後、新年などに行われます。神霊に豊作の祈願や、無事収穫出来た感謝をするためです。農耕儀礼の雰囲気が色濃く出ているだけではなく、人生に関しても表現します。また韓国の仮面劇にも観られるような、地位の高い者を風刺したような内容を含んだりもするようです。

コーラム(kolam)と呼ぶもの

コーラム(kolam)は広い意味では仮面を意味する言葉です。そして仮面劇でなくコーラム(kolam)と呼ばれるものがあります。むしろこれから紹介することの方がご存知だったり、何かで見たことがある方も多いかもしれません。インドで朝に玄関の前に、白い粉を使用して描く床絵をコーラム(kolam)と呼ぶそうです。

米粉などを主に使用するようで、地域によってはカラフルな絵をら描くところもあります。マレーシアのヒンドゥー教の祭りでも見かけることができます。マレーシアでは米などの穀物に染料や着色料などを付けて絵を描くようです。

コーラムの起源

現代のコーラムは人々に娯楽の場を与えている要素ありますが、形成されていった経緯に関しては複雑なようです。スリランカ南西部のミリッサ地方に伝わる話では、南アジアでの伝説的な王として知られるマハーサンタマ王が関係しているようです。ちなみマハーサンタマ王に関しては、こちらの記事で詳しく述べていますので、ご関心のある方は是非ご覧ください。

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最初に演じられたのは王と王妃の御前

マハーサンタマ王妃がお腹に子を宿した時に、ふとある欲望が湧き上がりました。どうやら観たこともないようた仮面舞踏が観たくなってしまったようです。王は全土に御触れをだして、芸人を集めて王妃の前で披露させました。しかし王妃にはどのパフォーマンスもここに響くことはなかったそうです。

実は古代のインドでは興味深い考え方があったようです。女性が子を宿している時に普通ではないような欲望が沸き起こるのは、悪霊の仕業という考え方がありました。さらにこれを叶えることができなかった場合は災が降りかかると考えられていたようです。しかもこのケースの場合は、王妃の事象のため、国家が滅びかねないという恐れがありました。

インドラ神の計らい

王は困り果てて、食事することを止め、眠ることもやめてしまいます。するとある女神までが王も案じ、インドラ神を頼りました。インドラ神は工芸の神であるヴィシュヴァカルマに仮面を作成することを依頼しました。その仮面は白壇により作成されました。(ちなみに仮面は白壇で作成することが望ましいとされてはいます。しかし白壇は高価でかつ脆いもののため、現在は様々な仮面劇では黒壇など他の素材を使用している場合が多いようです。)

王の宮殿の庭には仮面などの道具と劇のための台本まで贈られることになりました。王はそれらの贈呈されて物から意図を把握し、仮面劇を開催しました。そしてそれ以降コーラムとして、この文化は生き続けているとされています。

悪霊は王家から

基本的には悪霊は王家から現れ、それが元で人間の世界へ紛争をもたらすとされていました。王が民衆を苦しめ、それを神の仲介の元平和が戻るといった具合のようです。神の庇護の元で王は国を治めもしますが、世を混乱に陥れるという存在でもあります。

王は構築と破壊を行う者であり、そこには神と悪霊が関わってきます。古代インドの世界観は、神、悪霊、王という三種の存在、言い換えると神霊界、夜叉界、人間界が相互に依存している世界とも言えるでしょう。

コーラムの存在と起源

ここまで仮面劇であるコーラムに関してまとめきました。コーラムはただの劇というものではなく、人々の癒しや娯楽としてなお生き続けています。伝説の王の時代からコーラムは存在していました。コーラムの歴史の経緯を鑑みると、古代のインドは神霊界、夜叉界、人間界が三位一体となって世を構成していた世界と言えるでしょう。

人類は初の王と言われるマハーサンタマに関する記事はこちら

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