マハーサンタマは人類最初の王?!人類の欲が王を生む?

南アジア

仏教の各宗派によりインドに伝わる幾つかの話の中で、人類で初の王となった人物が出てきます。名をマハーサンタマと言います。その話では世界がどのように出来、どのようにして王が誕生したのかが記されているようです。今回はマハーサンタマなる人物に関して見ていきましょう。

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人類初の王マハーサンタマ

インドの地域では、仏教の宗派によってはマハーサンタマが人類で初めての王となった人物と言われています。そしてマハーサンタマは王を意味するラージャの語源にもなったと言われる人物です。

ラージャ

インド圏では王の中の王のような人物、言い換えると大王にあたる人物をマハーラジャと言います。「ラージャ」とは王を意味する言葉であり、ヒンドゥー教が伝わっていった東南アジアの諸地域でも「ラージャ」は王の意味として使用されています。

古代にインドの地域に攻め込んできたアーリア人のリーダーの名前がラージャンだったという説があります。そしてそこから湯余曲折を経て王を示す言葉として「ラージャ」が使用されるようになったとも言われています。ただ一説にはラテン語の王を意味する単語の「Rex(レークス)」という語とルーツが一緒なのではないかという説もあります。

マハーサンタマが王となったいきさつ

人類に暴力、盗み、嘘などが発生した時に人々は困り果てて、人々の中から護ってくれたり罰を与えることを決める代表者を決めることにしました。そこで最も徳があり、人々に尊敬されているような人物が選ばれることになりました。代表者となるものには、護ってくれることや統治を行ってもらう対価として、人々が獲得した稲の6分の1を与えると人々は約束しました。

そして選ばれた人物は王となりました。(この頃は話の上では胡麻、大麦、小麦などもまだなく、人類は主に稲を食べていました。)王となったものは悪人たちに対して適切な処罰を行い、善人を保護し、正しい生き方を人々に説きました。その時に王という意味の言葉「ラージャン」が生まれたそうです。

実はマハーサンタマは呼び名

王は善政を行い、世から悪行を消滅しました。そしてより多くの人々に尊敬されるようになり、マハーサンマタと呼ばれるようになりました。実はマハーサンタマも彼の名ではなく、本当の名前は語られていません。マハーサンタマとは「大衆に合意をされた者」というような意味です。

カーストの魁

当時の王とはいわゆる「田んぼの監督者」であるため、クシャトリヤと言われました。そして王やその配下人々がクシャトリヤと呼ばれるようになります。マハーサンタマの登場により時代はよくはなりましたが、基本的に人間の本性が変化したわけではありませんでした。マハーサンタマが必要になったということ自体、人類がモラルを喪失しかかっていたためと言えます。

そして田んぼが公正に管理されることで、私有財産が生まれることになります。すると人々の欲はより増幅していきました。そしてそれは個人差の元、社会の階層が出来ていき、カースト制度の成立となっていきます。所有することを否定し、中には財産を放棄し森に住んだ人々はバラモンと呼ばれました。

また田んぼで牛のような所作をして生きている人々はヴリシャラと呼ばれました。工芸などを一手に引き受ける人々も現れ、彼らはヴィシュと呼ばれました。そして盗賊などを処刑することを引き受けた人々はチャンダーラと呼ばれました。チャンダーラたちは非道徳的な行いをする他の人々に見なされて、一般的な社会から放り出されることになります。

人類の欲により時代が変化していく

余談ですがマハーサンタマが語られている話では、人類が欲により変わっていくことを何度も述べられています。ストーリを知っていく内にこのような話が何度も出てきて興味深かったです。最初は人類は飛ぶことが出来たのですが、あまりにもある物を食い過ぎて飛ぶ子ができなくなります。米を食べることにより性別が別れていったという話もあります。

基本的には人類が何かを直接変化させて行くというよりは欲望を満たすことに、超常の力が働き人類が変えられていったというところでしょうか。ただ家の開発に関しては人が開発している点が面白いです。まぐわいを何度もしているうちに恥じらいを覚えて家を人類が開発しました。これも欲望を満たすために生活が変化していった流れですが、変化させたのが家に関しては人類というのは興味深いです。

牛の話も非常にインパクトがありました。マハーサンタマの生きていた時代はまだ牛が話せました。マハーサンタマの死後は、人類が再び欲により時代を変化させていきました。人類は牛に酷い仕打ちをするようになり、牛が反発したために鼻に紐を通したり、鞭を打って強引に従わせました。そして牛は言葉を話すことができなくなったと言われます。

人々の欲がマハーサンタマを生んだ

マハーサンタマの登場はある意味、階層社会を生む魁となりました。人々は必要以上に食を求め、身体が重くなり、地上でしか生活することが出来なくなりました。そして人々の欲により、もしくは生きていくために王を欲しました。そこから財を成す欲が発生し、人々は階層化していきました。そしてマハーサンタマの死後は実際に荒れた世になりました。各地域には様々なお話がありますが、どれもその地域の色があると感じました。

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