現代では「The Game」などのナンパのテクニックを語った著作物などがありますが、古代にも恋愛のテクニックを語った本を残した人物がいます。今回はオウィディウスの名言についてご紹介していきます。
前43年3月20日 – 後17〜8年頃
オウィディウスについて
古代ローマの詩人オウィディウスの「恋の技法」は、現代では「ナンパ本」の祖としてとらえられる方もいます。
ただ彼は、多くの著作物を残し恋愛だけでなく様々な事を語っています。
オウィディウスの作品である「恋の技法」は、女性側からのテクニックととれる事も描かれており、
「The Art of Seduction」の様に歴史上の有名な誘惑者であるクレオパトラ、カサノヴァ、ナポレオンなどの手法を分析した本にも通ずる面があるかもしれません。
当時のローマは、ギリシャと比べると女性の地位が比較的高く、特に上流階級の女性は社交の場で影響力を持っていました。
古代でありながら女性も地位によっては自由な恋愛を楽しんでいた時代とも言われます。
その為、「恋の技法」の内容を現代にも通ずるテクニックと捉え、愛読されている方もいるかもしれません。
ただし、本の内容を都合良く解釈しナンパをする者が彼を崇めていると批判があったり、恋愛テクニックを伝える為に書かれたものではないと古典研究者が警告しているとも言われています。
オウィディウスは恋愛を成就させる為の手解きや、官能的な作品を残したイメージもありますが、
単なる享楽主義者ではなく、「変身物語」では神話の中の愛の悲劇や報われぬ愛も多く描きました。
幾つか彼の名言をあげていきます。
「機会はどの場所にもある。釣り針を垂れて常に用意せよ。釣れまいと思う所に常に魚あり。」
「許されたことには興味がないが、禁じられたことには気をそそられる。」
「満ち足りてしまった恋は、すぐに退屈になってしまう。」
「恋は遅く来るほど激しい。」
「恋の秘訣、それは疑わないこと。」
「人は敵からでも学ぶべきだ。」
「すべてが変化し、何も滅びない。」
恋愛系の名言から人の心理を描き、他の名言からはここに上げてないものも含めて、「俯瞰的視点」、「柔軟性」、「変化の受容」というテーマがある様にも見えました。
人間の心理や触れ合い方を考察していく上で、この様な視点を意識し、人間の営みや世界の本質を見つめていた様に感じます。
オウィディウスの著作物は現代にも影響を与えており、恋愛の教則本として一部では広まっています。
恋愛は仕事よりも、テクニックによる弊害が大きくなる可能性が高いです。なぜなら、仕事でもそういうケースはあるかもしれませんが、恋愛は効率が良ければ良いとは限らない事も一つの要素です。
「The Game」でも、登場人物が虚無感の様な者に襲われている描写があります。
実際、身近な世界でも似た様な光景を目の当たりにする事があります。
恋愛のテクニックを知り結果だけ見れば、華やかに見える方でも、本来は何を求めていたのか?もしくは何を求めてるか自覚があったとしても、ゾンビの様に人々の身体を貪るサイクルを送ってる方もいます。
テクニックに溺れ、彼らが真に欲しいものは入らず、また新たな出会いを求め、彷徨い続ける。
けれど人と繋がる結果は出るため、形式的なものや、自尊心は満たされて、そのサイクルから出る事ができなかったりします。
またテクニックを多用し、意のままの結果が生まれる事に「人間なんてそんなものだよなぁ。」と「虚しさ」を持ちつつも、より人々を消費物として捉える様になってしまった方もいました。
オウィディウスは、人に対してこのようにすれば、恋は燃え上がったり、円滑に維持できたりなど心の仕組みを探求したのかもしれません。
ただ、一方で、
「愛する者を勇気を持って守る人は、幸せです。」
恋愛手法的な名言の他に、この様な言葉も残しています。
テクニックに関して有難いものとして使う方も、やましさを持つ方などもいるでしょう。
また、結果的に意識してなくても、思い起こせば「恋の技法」と同じ事してたなんて方もいるかもしれません。