ローマ式の戦い方へ変革をもたらしたバイキングの戦い方

北ヨーロッパ

バイキングの出で立ちと言えば丸い盾と剣や斧を持ち、頭には角の付いた兜を被る戦士を想像する方も多いのではないでしょうか。バイキングは当時のヨーロッパを震撼させる存在でした。そこで彼らは具体的にどのような戦い方をしていきたのかに関して見ていきましょう。

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中世の戦いはローマ時代に劣る?

ローマの戦い方の方が中世より優れ、中世はヨーロッパでの戦闘の在り方の停滞期だったとする説があります。中世はただ剣を振り回す原始的な戦闘に逆戻りしたのではないかと言われています。確かにバイキングなどから受けるイメージは蛮族のような感じもありますが、果たして本当に中世は戦闘形態が退化した時代だったのでしょうか。そこで具体的なバイキングの戦い方に関して見ていきましょう。

バイキングとは

バルト海沿岸一帯で暴れまわっていた武装集団のことを指し、当時のスカンジナビア半島やバルト海の辺りに住む者を指します。またその辺りに住んでいた北方系のゲルマン人のことをノルマン人とも呼びます。また本来のバイキングの意味は襲撃者を指すため、ノルマン人の武装集団のみを指す言葉ではありませんでした。この記事でのバイキングは中世ノルマン人の武装集団として話を進めていきます。

バイキングの戦闘は攻撃的

西ローマ帝国の崩壊しヨーロッパの情勢が変化すると、バイキングが台頭していきヨーロッパで猛威を振るいました。結論から言うと武器に関してもローマ式の武器は廃れ、ゲルマン系やケルト系の武器が進化していき、ノルマン人の戦闘スタイルが存在感を増していきました。ローマ式とバイキング式のどちらが優れているかは、状況にもよるため単純に比較することは出来ないかもしれません。

ただしバイキングの戦闘は当時の時代に最も適したいたのは間違いないでしょう。バイキングの戦闘の仕方はフットワークを駆使するスピード感を重視していたそうです。対してローマ時代の戦闘は、大きな盾の後ろに隠れながら、自身はあまり動かない戦闘スタイルのため真逆だったと言えるでしょう。

盾の使い方に神髄がある

バイキングの盾の用途は攻撃を受け止めるためではなく、攻撃を受け流したり、盾を利用して相手の動きを封じるために使用していました。そのため盾は軽量に仕上げられており、小ぶりな円形状のものになっています。盾をいかに使いこなし、さらに相手の持つ盾をいかに迂回して攻撃を加えていくかの2点が戦闘の基礎となっているようです。

剣で防ぐという考えはない

イギリスのジョージ・シルバーに代表されるように剣で攻撃を防御するような発想は当時のバイキングにはなかったように思われます。バイキングの使用していた剣の鍔は非常に小さため、仮に相手もしくは自分が剣が滑らせた場合、鍔で受け止めることは出来ません。

そのことからも剣は純粋に攻撃をするためだけに存在し、防御に関しては相手の攻撃に対して身体で避けるか、盾を利用して凌ぐ形だったと言えるでしょう。ちなみにジョージ・シルバーに関する記事がこちらにありますので、ご関心のある方はこちらもご覧ください。

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バイキングが狙う部位は?

バイキング狙う部位は主に頭部、次点では足になります。ということは戦闘中に基本的に盾に覆われていない部位と言えるでしょう。頭部への攻撃は相手を恐怖させるだけではなく、相手が防御に回る場合は視界が塞がれることになります。

足に関しては機動力を奪うだけではなく、実質的な戦闘不能の状態に陥らせ易いです。当時の人骨には剣の裏刃で脛に傷があるものも発見されており、裏刃を使用して足を攻撃する方法が存在していた可能性があります。

まず頭部を攻撃し相手の意識を上段に集中させたり、盾を上段に構えさせることにより、下半身への隙を作ります。そこですかさず足を斬りつける戦法があったようです。また盾を押し付けて相手の動きを封じて、その隙に足を斬りつける戦法が一般的だったのではないかという推測もあるようです。

バイキングの戦闘スタイルは武器から推測出来る

ここまでバイキングの用いた武器や防具に関してまとめていきました。バイキングはスピード重視の攻撃的な勇ましい戦闘スタイルを好んだと言えるでしょう。ローマ式からバイキング式、そしてまた新たなスタイルが台頭していきました。盾の形がカイトシールドなどの水滴型に変わっていくと、さらに足を保護する防具が発達して行くことにバイキングの戦闘スタイルが通用しなくなっていったようです。

ジョージ・シルバーに関する記事はこちら

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バイキング歴史漫画「ヴィンランドサガ」に関する記事はこちら

https://rotenblog.com/europe/northeurope/vinlandsaga/

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