スペイン剣術にはThe Mysterious Circle(神秘の円)と呼ばれる芸術作品のようなフットワークダイアグラムがあるようです。ジェラール・ティボー・ダンヴェールという人物によりThe Mysterious Circle(神秘の円)は世に広められることになります。
Gérard Thibault d’Anvers(ジェラール・ティボー・ダンヴェール)
1574年から1627年まで生きていたオランダの剣術家でスペイン剣術のフットワークのダイアグラムをThe Mysterious Circle(神秘の円)と呼んだ人物です。ヘロニモ・サンチェス・デ・カランサの教えを受け継いだ剣士と言われています。ジェラール・ティボー・ダンヴェールの書いた剣術書Academie de l’Espée(アカデミー・ドゥ・レシピー)は、彼の死後に公開されました。
Academie de l’Espée(アカデミー・ドゥ・レシピー)
この剣術書ではThe Mysterious Circle(神秘の円)に基礎となる数学的な理論に関してや、歩兵や騎兵での武器の取扱に関して述べられています。また剣術家たちが残したもの中で最もラグジュアリーな装飾が施されており、後に非常に精巧な論文というだけではなく芸術的観点からも素晴らしい印刷物の一つと称されました。
The Mysterious Circle(神秘の円)
Academie de L'Espeé de Gérard Thibault d'Anvers 1630
Destreza Española en un libro magníficamente ilustradohttps://t.co/OkWWEI7DH6#Esgrima pic.twitter.com/gw2tRei8yL— Frioacero (@Frioacero) June 23, 2017
The Mysterious Circle(神秘の円)は剣やステップなどの距離の適切な長さを図ることが出来るそうです。そして理想的な歩幅や、相手までの適切な距離、様々なシチュエーションに対して効果的な行動をするためにどこまでステップすると良いのかなどをThe Mysterious Circle(神秘の円)は教えてくれます。
Gerard Thibault d’Anvers’ The Academy of the Sword. pic.twitter.com/sj2GkPrI8e
— Sardonicus (@RealSardonicus) June 2, 2019
さらにAcademie de l’Espée(アカデミー・ドゥ・レシピー)ではThe Mysterious Circle(神秘の円)の地面への描き方の方法も述べています。それを参考にしながら剣士達はの訓練を行うことも出来ます。
イタリア流剣術との違い
イタリア流剣術は刺突至上主義とも言え、対してスペイン流では刺突だけではなく一直線に相手に剣を向けた状態から斬撃も使いこなします。さらにイタリア流が直線運動であるフットワークであることに対して、スペイン流では常に相手に剣を向け続けるため、相手を中心に円運動のフットワークをすることになります。
そのためスペイン流同士では両者が向き合ったまま、常に動きまり続けるためダンスをしているようにも見えます。さらにスペイン流どうしては戦闘開始時の間合いが非常に近く、双方の鍔に剣先が付く程近づいた状態で始まります。
スペイン流剣術の核は計算された円運動
スペイン流では他の剣術とは違いフットワークの方向が多様でかつ、他の国のレイピアの攻撃方法にはない斬撃まであります。そのためスペイン流が当時最強と謳われていたのは納得がいく人々が多かったと言えるでしょう。さらにスペイン流剣術の核となるものとして、緻密に計算された効果的な円運動を身に着けさせてくれるThe Mysterious Circle(神秘の円)の存在がありました。