ダゲスタン共和国は渡航中止勧告が発せられている時もあるほど危険な地域として知られていますが、観光する価値の高い国でもあります。ダゲスタン共和国の歴史的な要塞デルベントは一見の価値があるでしょう。アレキサンダーの時代まで遡り、ロシアの中で最も古い町と言われているようです。
ダゲスタン共和国とは
カスピ海に隣接するロシア連邦に構成する国の一つであり、首都はマハチカラです。丘の国であるため容易に行き来することが難しく、コーカス諸語の民族やテュルク系民族など様々な民族が混在しています。具体的にはアヴァール人、アグール人、ルトゥル人、ダルギン人、ラク人、レズギン人、タバサラン人、ツァフル人、ノガイ人、クムイク人などです。さらに多くの人々がムスリムになります。
戦士の土地
特に有名な人物はムスリムの指導者であったイマーム・シャミール、総合格闘家のハビブ・ヌルマゴメドフなどです。ダゲスタン共和国は世界でも優秀な格闘家を特に多く輩出している地域として認知されています。
古からヨーロッパやアジアにおいて軍事上の重要な拠点である地であり、巨大勢力の板挟みにあう地域でした。歴史的にも戦士を継続して輩出してきた土地と言えるでしょう。そして今ではオリンピックやUFCを始め、スポーツの世界へ戦士を世に送り出しています。
「stān(スタン)」の名が付いている国名
「stān」はペルシャ語で「~の土地の」という意味を表す地名に関する接尾辞だそうです。スタンの付く国名にはイラン周辺の国に多く使用されています。またパキスタン、アフガニスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、カザフスタンなどイランを中心として北や東側に集中していると言えるでしょう。
ただしこの一帯は古代のソグド人が活躍していた地域でもあるため、ソグド系の言語が由来している可能性があるという説もあります。またダゲスタン共和国に関しては、少々名前の歴史的な背景が異なるようです。
ロシアが現ダゲスタン共和国の地を統合した際に、ダゲスタン州と命名された経緯があります。ダゲスタン人とはロシアのスターリン時代にアヴァール人などを指す総称に使用されていた民族名だったそうです。ちなみに「dağ(ダゲ)」はトルコ語で山を表す語になります。
コーカサス地方
ダゲスタン共和国はコーカサス地方の中で北東に位置します。北コーカサスに関してはヨーロッパに分類されます。ただし南コーカサスはアジアもしくはヨーロッパに分類されることもある複雑な地域です。コーカス地方はアジアとヨーロッパの境になる地域であるため、民族を始め文化、言語、宗教が複雑に入り組んでいます。健康に良いと評判のケフィアの発祥の地でもあります。
コーカサスは英名であり、ロシア語ではカフカース、ラテン語ではカフカスと呼ばれ、日本ではこの3種の呼び方は様々なシーンで使用されるため、どれも馴染みがある呼び方と言えます。コーカサス山脈のエルブルス山は、ロシア地域だけではなくヨーロッパ全体でも最も高い山です。
コーカサスの名前の由来は古代ギリシア語のKaukasos(カウカーソス)に由来します。そしてプリニウスの博物誌によるとKaukasosのさらに由来となる言葉があり、スキタイ語の「白い雪」を表すクロウカシスが元となるという説が有力です。
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