ベルセルクのラクシャスもそうかも?仮面ありきで存在するものラークシャ-スリランカ

南アジア

スリランカではラークシャと呼ばれる存在がいます。漫画のベルセルクに登場するラクシャスは仮面を被りボロの様なものを纏うキャラクターです。仮面をつけた神や悪霊に近いものではインドの羅刹天よりスリランカのラークシャの方がイメージが近いかもしれません。

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漫画ベルセルクのラクシャスの元ネタ?

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ベルセルクでもお馴染みのラクシャスですが、インドの神話の神をモチーフにしているという話があります。羅刹天の梵名がカタカナ読みでは様々ありますが、主にラクシャス、もしくはラクシャサと表記されています。ただラクシャスとはもともとは仏教ではなく、ヒンドゥー教のラークシャサから、仏教に取り入れられたらしいです。

羅刹は人肉を食らう暴力的な鬼の総称になります。一方羅刹天は破滅や破壊といった類物を司る鬼や神の元締的な立ち位置です。しかし最終的には仏教に帰依して、護法神として祀られるまでになりました。

スリランカでのラクシャスに迫る

ベルセルクでのラクシャスは仮面を被っています。仮面を被った存在というとスリランカの仮面劇に登場するものを連想する方もいるかもしれません。今回の記事ではスリランカの仮面劇の話を交えながらご紹介していきます。

ラクーシャは仮面でのみ存在をする

コーラムではシーンにより、ラクーシャの祠はなく、仮面を通してのみ現実世界に出現するようです。ただベルセルクのラクシャスの場合は仮面を外しているシーンもあります。場合によっては仮面を付けないと存在しないシーンもあると面白いかもしれません。

仮面劇をみると各々存在の位置付けが見て取れる

スリランカの南西部では特に仮面劇が盛んで、特に神霊や悪霊を扱った内容が多いようです。実際にはラークシャはスリランカの上座部仏教ではどのようなものなのか、仮面から鑑みることが出来ます。

ラークシャサの仮面

上の画像のものは幻想的で、非現実的な雰囲気があります。また人間の顔と悪霊の仮面では面持ちが非常にかけ離れています。上の画像にあるのは悪霊のサンニ・ヤカーの仮面ですが、いかにも粗暴そうな顔をしており、顔の表情には溝が施され強調されているようです。そして歯は独特な出っ歯をしており、人間界の存在でないような雰囲気が醸しされています。

ヤカーとは病魔のことで、様々なヤカーがあるそうです。病気になるのはヤカーの仕業だとされています。一方ラークシャというと、同じく目が飛び出しており、歯が飛び出ており悪霊の仮面とそこまで違いがないように見えます。

ラークシャの中には人間的な要素があまりなく、鳥や蛇などと合体しているようなオドロしい雰囲気で悪霊のようなものまであります。しかし、やや柔和な感じの顔しており、不吉な感じあまりしないようにも見えるのもラークシャの仮面の特徴と言えます。

ナーガ・ラークシャ

上の画像はナーガ・ラークシャの仮面ですが、確かに人間から程遠い感じのモンスターのようですが、何か顔に柔らかさがあるように見えます。正直ベルセルクのラクシャスとは仮面という共通点以外まるで似ていませんね、、ちなみにラークシャには様々な種類があります。

https://twitter.com/hopperslondon/status/733265003583770624?s=21

ラークシャの種類にはマル・ラークシャ、カワ・ラークシャ、グルル・ラークシャ、プールナカ・ラークシャ、ニーラギリ・ラクーシャ、先程の画像のナーガ・ラークシャなどがあります。

マル・ラクーシャ

画像の下3点は死の悪魔を表現したマル・ラクーシャの仮面です。他のラクーシャと比較すると恐ろしい感じが特に出ているような気がします。表情もあまり柔らかいようにも見えません。

グルル・ラクーシャ

インドの神話に登場するガルダ(サンスクリット語)は、スリランカでは宗教上の対立などの経緯を経て災厄をもたらす存在という扱いになり、グルル・ラクシャとなっているようです。英語ではガルーダとなります。ちなみにミャンマーではガロンと呼ばれ、守護動物として信仰するところもあるようです。ガルダのgrとは、飲み込むという意味を持つそうです。

ガネーシャもスリランカでは変化

ギリと呼ばれる存在もあり。前述のガルダ同様の理由で、ヒンドゥー教に出てくるガネーシャもスリランカではナーラギリと名前が変化し、魔の存在となっています。スリランカではこのような変化を遂げた神々や神獣が幾つかいるようです。他にはナンダギリ、ナータ・ギリなどがいます。

様々な因果により立ち位置が変わる神や霊

ラクーシャやヤカーは基本森に住んでいます。神霊や悪霊は仏陀に統括される位置づけです。シンハラ人にはヤカーは悪霊というくくりですが、逆に森に住むウェッダー族の場合はヤカーを崇拝するような存在としていたという話もあるそうです。ヤカーとは本来は森を守護する霊的な存在、もしくは祖先や死霊として発祥されたものかもしれません。

過去にシンハラ人はウェッダー族を蔑んでみていたようで、そのうような経緯で森の神霊たちは悪霊とされてしまったのかもしれません。もしくは仏教の教義の中では神霊の存在を認めていないため、悪霊とされた可能性もおります。ガルダがガルル・ラクーシャとなった経緯と同様、宗教が絡みそう変化していったのかもしれません。

仮面の作成の仕方

伝承では仮面は神々からもたらされた産物であり、聖なるものであるため白壇から作成するとされていたようです。しかし白壇は高価なものであり、かつ物理的に脆い素材のため、劇などに使用するには扱いにくいものです。そのため実際には黒壇などの素材が使用されていました。また人々は黒壇の性質に豊穣を投影させていたようでした。

なぜなら黒壇は乳液を出すため、その液体は人が生きていく上、繁殖する上で欠かせないものを連想し易いからです。ただ黒壇は乳液を多く含むため、すぐに彫るなどをして作成して行くわけにはいきません。まず燻して空気や日光などで、乾燥させる必要があります。仮面に色を塗った時点で生命が宿ると考えられているようです。

そのため大事に祀らないと、祟りが起こるとされています。仮面は自然の中の霊的な力を見える形で世に表します。こうしてスリランカの仮面劇は儀式とした側面を今も残しつつ、今も人々の間で行われているようです。

ラクーシャとは

色々調べるまでラクーシャとは一つの神霊かと思っていました。ヒンドゥー教のガネーシャなど他の神にも見られるように、複数の神名、神格が統合された存在はいます。ただラクーシャはそのような形とも違いますが、複数いるようです。ラクーシャの中には、ガルダが変化したものも含まれていることが興味深かったです。

またその時の宗教上の絡みにより神や霊たちの立ち位置が変わっていったという情報を知り、そのようにして物事は成り立っていくんだと改めて実感させられました。シーンによってはラクーシャは他の超常なるものと違い祠がなく、仮面を誰かが被る時だけに存在する理由は、悪霊でもなく神でもない、半神半妖のような位置付けだからでしょうか。

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