スロベニアの英雄と言えば「チュルトミル」?-ヨーロッパ編-

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スロベニアの英雄として挙げられる人物では、みなさんは誰を思い浮かべるでしょうか。今回は、Črtomir(チュルトミル)についてクローズアップしていきます。実は、チュルトミルはあるスロベニアを代表する有名な詩人の作品の主人公として登場してくる人物です。

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スロベニアの英雄と言えば?

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昨今では、スロベニアの有名人と言ったら、バスケ選手のゴラン・ドラギッチやトランプ大統領の妻であるメラニア夫人を思い浮かべる方もいるかもしれません。しかし、まず英雄としてあがるのはフランツェ・プレシェーレンという人物かもしれません。

フランツェ・プレシェーレン

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スロベニアを代表する詩人なのですが、英雄としても崇められている人物です。なぜ、詩人が英雄として崇められているのか不思議に思う方もいるかもしれません。

実はスロベニアという国が国際的な問題によって国がなかった時に、彼の作品ががスロベニア人の自己同一性を保つのにとても大切だったからです。

そして、プレシェーレンは本記事のテーマである「チュルトミル」とも密接な関わりがある人物でもあります。

チュルトミルについて

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Krst pri Savici(サヴィツアの洗礼)という宗教戦争を題材にしたプレシェーレンの作品で登場するヒーローのことです。

まずはサヴィツアの洗礼について述べ、その後にチュルトミルの詳しい物語について触れていきます。

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ところで、Črtomirという名は日本では馴染みがありませんが、そもそも「Č」自体なんて読むのだろうと気になった方もいるかもしれません。

こちらでČrtomirの発音について述べていますので、ご興味のある方は是非こちらもご覧ください。

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サヴィツアの洗礼

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1846年に出版されたもので、プレシェーレンの中で重要なテーマでもある「国家」、「歴史」、「民族」を網羅しており、さらに宗教まで加わってくる作品です。

500以上のヴァースがある壮大な作品となっておりとても読みごたえがあります。それだけの数があるものをどのような構成で組んでいるのでしょうか。

もしサヴィツアの洗礼についてより詳しく知りたい方がおりましたら、こちらに私が翻訳したものがありますので合わせてご覧ください。

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3部のパートからなる傑作

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三章とも、詩の形式が明確に違うように描かれている興味深い作りになっております。一章は、プレシェーレンの友人に向けた内容になっております。

二章は、キリスト教徒と他の信仰を持つ者との戦いについて述べられています。三章では、チュルトミルがキリスト教の洗礼を受けることについて書かれています。

若い青年の戦いと愛の物語

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この物語の大きな流れとしては、チュルトミルという勇壮な英雄が、美しい女性Bogomila(ボゴミラ)に恋をする物語です。

しかし、二人の信仰するものは違うため愛し合うことは叶いません。そこで、チュルトミルはキリスト教に改宗して、サヴィツアの滝で洗礼を受けるという内容になっております。

まずは、ボゴミラという女性について、そしてチュルトミルの立ち位置やパーソナリティについて触れていきます。

ボゴミラの意味は神に愛されし者?

Bogomila

出展:AI画伯を使用した自身の画像より引用

美しく、エレガントさも併せ持った、汚れのない作中のヒロインです。キリスト教を信仰する前は、地域の信仰の女神であるŽivaに仕えていました。

ちなみに「Bogomila」という名の由来となる「bogu」には富裕、幸運という意味があったのですが、のちに神という意味合いになったそうです。

また「milŭ」や「mil」には優しい、愛するなどを表すそうで、おそらく「ボゴミラ」と言う名は神に愛し愛されし者といった意味になるのかもしれません。

チュルトミルの立ち位置

Črtomir

出展:AI画伯を使用した自身の画像より引用

初めはキリスト教側ではなく、土地に根付いたもともとあった信仰側の人間です。さらに、キリスト教徒と対立する立場にありました。

さらに信仰のために命を捧げる覚悟もできているという心構えもありました。

ただ、作中でこの信仰に対する表現で「父親の信仰」という表現が使われており、自身が生まれた所に従って命を懸けて戦っているというニュアンスが読み取れます。

チュルトミルの意味は平和を憎むもの?

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孤軍奮闘したりと戦に殉じるオーソドックスなヒーローとして描かれていています。

時には仲間を失い気力を失い自ら命を絶つことまで考えたりもしました。しかし、その側面では敵側にいるボゴミラのことが気になっていたりと心の揺れがある人物でもあります。

ちなみに「Črtomir」という名には、「črt」には憎しみ、「mir」には平和や世界と言ったニュアンスの意味があるようです。

チュルトミルは他者との繋がりに殉じた人物

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サヴィツアの洗礼」を創るにあったって、ヒーローとヒロインの命名には、プレシェーレンは意味深なものを潜ませているようにも見えます。

最初は父親にならって、最終的には愛する者のためにと、チュルトミルは常に誰かとのつながりを元に動いていた人物のようにも見えます。

しかし、ある意味では常に信仰に対してはチュルトミル自身は懐疑的であったかもしれません。

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勇壮な戦士である側面を持ちつつ、仲間の死に絶望したりもしましたが、愛に殉じ敵対していた相手側についてしまうという、結果的に正反対の行動をとっています。

この作品の主人公を英雄と捉えるか否かは賛否両論別れますが、みなさんにはどう見えたでしょうか。

「ČR」の発音に関する記事はこちら

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